同じくアメリカへ行った時に立ち寄ったバイク屋さんの話

カリフォルニアのテメキュラという街から南へ走り、サンディエゴ向かう途中にエスコンディードという街があります。

書きながら思い出しましたが、先の『ロン・ビショップ』のお店もこの街だったような・

その街には数件のバイク屋さんがあり、中でも大き目のディーラーっぽいお店、『エスコンディード カワサキ』という店に行きました。

お目当てはバイク探し。

ちょっとした体育館ほどもある展示場にズラリと新車、中古車が並んでいて、さすがはアメリカのバイク屋さんといった感じ。

でも、店内の装飾や、建物の造りは実に素っ気無く、派手なPOPやポスターなんてビックリするほど少ない、ちょっと寒々とした雰囲気。

妙に隙間を多くとって並べられた・(でも展示台数も多い)・中古車を見て回り、お目当てのバイクを見つけました。

探していたのは『マッハV』、店内に1台、外にはレインボーラインのH1Bもありました。

店員を呼び、『このバイク買いたいけどエンジンはOKか?』と言うと、『OK・ちょっと待ってて、今エンジンかけるから』

とバイクを店の裏にある整備スペースの方へ運んでいきます。

外でしばらく待っていると、奥の整備場から白煙と共にマッハVが現れました。

スパニッシュ系の若いサービスマンがギュンギュン!とスロットルを煽りながらバイクを押し、値段交渉をしたマネージャーらしい人が横に付き添ってこちらへやって来ました。

二人で何か話しながらニコニコ笑っています。

僕たちの所まで来て 『ほら!パーフェクトだろ?』と自慢げにエンジンを吹かして見せました。

 

私はそのマッハが煙を出した時点で気が付いていました。

『一発死んでるよ〜』って。

一緒にいたみんなにそう話しながら素手で3本のエキパイを一本づつ触ると、 まん中のエキパイが冷たいまんまです。

私のその様子を見た二人は、何やら話をしたかと思うと、『ちょっと待っててくれ』そういって、走りながらバイクをピットまで押して行きました。

 

実はそこのお店には、雑誌で見つけたもう一台のマッハV(KH500)を買い付けるために行ったのでした。

そうしたら、広告にも出ていなかった、まだこれから整備する・(であろう)・H1Bが置いてあり、そちらの方も売ってもらうように交渉をしたのでした。

 

しばらくして、今度はちゃんと3気筒全てに火が入ったマッハVを押しながら、これまたニコニコと僕達のところへバイクを押して来て、『今度はパーフェクトだろ?』

とバイクを見せてくれました。

聞いたら、『プラグを交換したがキャブレターもダメだった』とのこと・

『だよね、』と思いつつ、この時の彼らの言葉(英語)を聞いて、 『カブった』 の語源はやはりコレに違いない!と再認識。

 

結局、最初の目的だったKH500とこのH1B、合わせて2台を売ってもらうことにしたわけですが、展示場に並んでいたKH500よりも、廃車置場かと思った屋外の”修理待ちバイク置き場”?に置いてあったH1Bの方がかなりお高い価格になっていました。

基本的に年式の順に価格が下がって行くアメリカの中古車相場から考えると、彼らの仕入れ価格は間違いなくH1Bの方が低いはずです。

可能性はあるだろうなぁ、そう思ってはいたのですが、案の定でした。

H1BがKH500よりも高くなってしまった最大の要因は希少価値や仕入れ価格なんかではなく ・我々が日本人だから・ だと思います。

Z1をはじめとして、古い日本車を日本人が高値で買いに来るという話はカリフォルニアのどこのバイク屋さんにも知れ渡っていたようです。

 

後日、我々が泊めてもらっていたアメリカ人のお客さんの家にトレーラーに積まれた新旧2台のマッハVが到着しました。

例のH1Bの方はナンバーも付いたままです。

ミッチ(アメリカ人のお客さん)に聞くと、このまま走っても良いとのこと。

やったー!とばかりにカリフォルニアの道路をマッハVで走り回ってみました。

広大なアボガド畑が広がる南カリフォルニアの道路は、ほとんど交通量の無い、全開で走っても決してフルバンクにはならないような、緩〜いワインディングロードばかりです。

滅多に無い交差点に差し掛かったところで、珍しく交差する車と出くわしました。

信号も何も無いので、先に交差点に入っていたその車が横切るのを待っていたら、車の中のオバさんが、『お先にどうぞ』と手で合図をしています。

『ありがとう!』

そう言って深々と、おじぎ をしながら前を通り過ぎる私をオバさんは不思議そうな顔で見ていました。

そういえば、アメリカ人って、頭を下げる挨拶なんてしませんよね〜・ ^^

 

とても快調なエンジンのH1Bで味わったカリフォルニアの空気は、ちょっとだけ冷たくてカラっ!としていて、例えを思いつかない香りのあるとてもすがすがしい空気でした。

そして、アメリカでも大きなお店はやっぱり商売に熱いんだなぁと思ったバイク屋さんでした。