2008年の250ccNEWモデル3機種 【Ninja250R】、【KLX250】、【D-TrackerX】の試乗会に行って来ました。

レーサーでもテストライダーでもありませんが、30年以上カワサキのバイクを乗り続けてきた一個人としての感想をお伝えします。

試乗の会場は、三重県鈴鹿市の鈴鹿ツインサーキット。
もちろんサーキット内のコースをMAX120Km/h程度の先導付きで試乗。

オフロードバイクのKLXは、サーキット内併設のモトクロスコースの一部を使用しての試乗で、押し固まった平坦でスリッピーな路面で最後にテーブルトップジャンプのある短い特設試乗コース。

1回の試乗は2〜3周程度で短いものの、はっきり言って【何回でも乗れる】
乗り放題試乗でした。^^
 
         
 

まずは、コレでしょう!
・と、ずらりと並んだ試乗車の一番先頭、ライムグリーンの【Ninja250R】に真っ先に跨り、一番乗りでコースイン。

真横からのシルエットは兄貴分のNinjaZX-6RやZX-10Rに比べてそんなに小さくも思えないNinja250R。
でも、近づいて目線が下へ向いていくほどにどんどんと小さくスリムになってきて、跨ってハンドルに手を下ろすと『ウヒョ!小さい! ^o^』って感じです。

イグニッションをON!
これまでFI化になった他モデルと違ってメーターの指針がグルッと回転したりしません。
メーターは従来と同じアナログタイプです、速度もフロントホイールからワイヤーで取り出しています。(でも、ECU入力は他のFI車同様ドライブスプロケットからのパルスをピックアップしています。)

スタータボタンを押すと、そこはFI車、一発でエンジンが始動してファーストアイドルで暖機が始まります。
エンジン音は基本が同じZZR250とまったく同じ・・ではありませんでした。
バルブ直押し駆動や細部に変更を受けたエンジンの音は明らかに静かで、個人的にはあまり好きではなかったEX250シリーズ独特の "ドコドコドコ"と言った感じの太くて大き目の音(ノイズ?)と振動がまったく気にならないレベルの、軽快なツインエンジンの音になっています。
また、『エキゾーストも絞り(排気口の大きさ)で音量を抑えたりせずに、サイレンサの構造で消音効果を上げてツインらしい排気音を演出してあります』という技術陣のこだわりが解る、エンジンからのメカ音とははっきり区別できる排気音です。
*ちなみにサイレンサのテールパイプの太さは国内外モデル共通だそうです。

スロットルを煽ると軽やかなレスポンスで回転が上昇、従来のキャブレター車との違いがもっと鮮明になります。
それもそのはず、デュアルスロットルバルブ装備、10穴微粒化インジェクタと点火システムまでもが兄貴分のNinjaZX-6Rと全く同じ物!
よくまぁ、こんなお値段でそんな装備を・・・と思ってしまった、開発陣のこだわりを最も感じる部分です。

とってもスリムで小さくて軽い車体に跨ってこのエンジンの鼓動を体感した時点でこのバイクの面白さが想像できました。
皮むきも済んでいない、マッサラのIRCのタイヤでまずは2周回。

まだ走行0Kmの新車なのにずいぶんとスムーズなシフトを2速3速とシフトアップして速度を乗せ、徐々にペースを上げる先導車の真後ろに付いて行く。
とにかくエンジンの回転が軽く、スムーズに吹け上がっていく感覚が気持ちいい!
4速、3,000回転の高めのギヤ、低めの回転数からスロットルをひねってやってもちゃんと加速してくれる。5,000回転から上では元気いっぱいのレスポンスでコーナーの立ち上がりの度に 『気持ちいい〜!!』 を満喫できます。

試乗2回目、3回目、タイヤの皮も剥けて、ヒラヒラと軽やかなハンドリングにも慣れてくるとブレーキング、コーナリング、フル加速と、どのセクションでも楽しい、スポーツバイクの "血"を感じます。
最近のカワサキのバイク全般ですが、とにかく走りの楽しさを追求した結果なのか、サスペンションの味付けがとっても私好みのモデルが多く、このNinja250Rも同じ。
コシがあってしっかりと減衰の効いたサスは今日の試乗ペースではバッチリだったと思います。

ストレートでは最終コーナーを3速〜4速で立ち上がり、4、5〜6速へとシフトアップして110〜120Km/hで走る先導車に付いていきますが、まだまだ余裕です。

技術陣への質問の回答では、最高速度は160Km/h程度。
また、US仕様(キャブレター仕様)との差について、低速域の太いキャブレター車に比べ、中〜高速域はFI車のパワー、レスポンスが勝るために最高速度はFI車の方が高いと言う回答でした。

燃費についての質問もありました。
カタログ記載値の定地燃費(10モード)は40Km/l(2名乗車時)となっていますが、市街地での実燃費は30Km/l前後という回答です。
Ninja250Rのタンク容量は17リットルの大容量ですから、無給油での航続可能距離は500Km以上!
こうなるとツーリング向けの装備や、ツーリング向けの派生モデルの登場を期待したくなるのは私だけでしょうか?
残念なことにキャリヤやトップケースなどのオプションパーツの販売予定は今の所計画されていないと言う返答でした。
燃料計は装備していませんが、燃料の残量が4リットルになると警告灯が点灯します。

一回の試乗が2周と短い走行でしたが、面白いので6回ほど乗りました。
今までのZZR250が女性や初心者対象のモデルだとすれば、このNinja250Rは更にベテランやこだわりのあるエンスーなライダーまでもがプラス1台のセカンドバイクとして欲しくなってしまう魅力的なバイクです。
名西カワサキでは試乗車を用意しますので是非ご試乗くださいませ。

 
 


Ninja250Rに続いて試乗したのは D-TrackerX

こちらは今までのD-Trackerを車体、吸気系をメインに大きく変更したNEWモデル。
エンジンは今までのD-Tracker、KLXと基本的に同じですが、このDトラXは車体、サスペンションの諸元が大きく変わっています。

新型D-トラを見て、まず感じるのが 【コンパクト】。今までのD-トラに比べて一回り小さくなった感じがします。車高も下がり、足つき性も良くなっているのですが、数値を見るとちょっと不思議なことに気が付きます。
2007年モデルのD-トラのシート高は865mm。
そして、この新型D-トラXのシート高は860mm。
『たった5mmじゃん!』
数値の上だけでは大した差があるようには思えないのですが、実車は明らかに違います、小さくなっています。
そして、足つき性も間違いなく良くなっています。

 
 

この数値からは推測し難い変化は、シートの形状やサスペンションの変更などの詳細な改善の結果だと思います。
エンジンについてはFI化になった吸気系とオールステンレス製の静かだけど意外と小気味良いサウンドのマフラーです。
エンジン出力は旧型の29psから24psに下げられています。約20%近くパワーダウンしているわけですが、走行フィーリングは旧型よりもむしろ元気になった感じがします。

こちらのエンジンもカワサキ車の中で最も高性能な類のインジェクタ(10穴微粒化インジェクタ)を採用していて、中〜高速域のレスポンス、パワー感を旧型以上に向上させています。
液晶表示のタコメータにはまだちょっと馴染めていなくてピンと来ませんでしたが、手や身体に感じるエンジンのフィーリングは実に軽やかで心地良く、ライダーの操作にリニアに反応するエンジンはカッチリとした足回りとの相乗で大トルク大パワーのバイクとは全く異質の【パワー】を感じ、その【パワー】を使える快感を味わえます。

250mmから300mmへと大径化されたフロントペタルディスクブレーキは 『必要無いでしょ!』と言いたくなるほど強烈な効きで、路面コンディションやタイヤによっては"危ない"レベルの良く効くブレーキです。
実用域に的を絞った出力特性のエンジン、強力なブレーキに合わせてサスペンションも大きく変わっています。
『D-TrackerX専用に開発しました』というサスペンションは、オフロード車のKLXと同じサスペンションだった旧型D-Trackerとは大きく変わり、ホイールトラベル(ホイールのストローク距離)はフロントで55mm、リヤは75mmも短くなっていて、フルブレーキング時のフロントの大きなピッチングモーションを激減させ、オンロード専用のセッティングとなっています。

燃料タンクの容量は7.7リットル。Ninja250Rと同じく燃料計はありません、燃料残量約2.3リットルで警告灯が点灯します。
実燃費は通常の使用で(1名乗車時)で約35Km/リットルというご報告でした。
キャブ仕様に比べるとかなり燃費アップしています。

何周か走ってみながら色々考えてみました。
『メーカーさんはホントに苦労してんだな〜・・・うまくまとめたもんだ・』 と。
現在の社会環境では音量ダウン、排ガス清浄化に伴う出力低下は避けようが無い、いずれは同じ条件でもコストをかけずに今まで以上の出力を得ることが技術的にも可能になるでしょうが、今現在できること、やらなければいけないこととして、下がった出力を如何に効率良く使うかに的を絞って造り上げたエンジン特性(システム)だなぁ、と思いました。
解りやすく言ってしまうと、使わない(使えない)余分な贅肉(パワー)を削り取って、常用域に振り分けたって感じでしょうか。
実際、旧型D-Trackerのタイヤは速度レンジが"H"(MAX210Km/h)でしたが、D-TrackerXでは "S"レンジ(MAX180Km/h)が標準指定となっています。

前述のNinja250Rや最近の他モデルと同じく、足回りにはすごく良い印象を持ちました。
使えるパワーをフルに使い、如何に楽しく走るかを考えて足回りを煮詰めた、乗り甲斐のあるバイクです。

まぁ、スロットルひとつでフロントタイヤが宙に浮く、余裕の贅肉パワーも魅力ではありますが、今のご時世【無駄は敵】なんでしょうか・ ^^;
試乗車、どうしようかなぁ・・・・・

 
  最後はKLX250
試乗車&自分用のバイクとして買うことが決まっているだけにNinja250の次に気になっている新型KLX。

エンジンの手応えはD-TrackerXと全く同じなわけですが、ダートではどうなのか気になるところ。
こちらも車高が僅かに低くなっています。
シート高で5mm、車体全高で2cm、最低地上高が1cmそれぞれ低くなって、サスペンションのストローク(ホイールトラベル)もフロント:30mm、リヤ:50mm短くなっています。

ストローク長が短くなった分、それとD-TrackerX同様意図的にピッチングモーションを抑えたセッティングのサスペンションは、跨った時点での沈み込みも少なく、足つき性は今までのKLXと比べて僅かに良くなった程度。

ブレーキング時の、前へつんのめりそうなフロントの大きな沈み込みは劇的に少なくなっています。
 
  キャブレター仕様のKLX、D-Trackerは、元々KLXからD-Trackerが生まれた経緯があって、KLXの足回りをそのままD-Trackerが使用していたのですが、このKLXは、D-TrackerXのカッチリとした足回りと同じ考え方で造られたサスです。
走りと乗り味にこだわる最近のサスセッティングはオフロードにも生かされていると思います。

ダートコースの試乗ではテーブルトップのジャンプが一箇所ありました。 
ジャンプ手前のコーナーをもっと速度を上げて回れれば飛びきって斜面に沿って着地できるのでしょうが、試乗車の状態だとかなり走り込んで慣れないと私では無理。バイクの向きが完全に変わってからスロットルを開けてジャンプすると、テーブルトップ反対側のちょうど斜面にかかるあたりにフロントタイヤが落ちる感じで、フワっと飛んで、ドスンっと着地する感じです。
そんな大き目のリバウンドが返って来そうなジャンプでは今自分が乗っているKLXとは大きな差があります。
大きなリバウンドが無く、特にフロントはすごく安心感がありました。レーサーの足に似た感触です。
試乗コースが短くて結構平坦だったのでその他の感触が解り難かったのですが、全体にカッチリとした足回りは重くなっているはずの車体を軽く感じさせてくれます。

D-TrackerXやNinja250Rと同じなのですが、特にオフロードだと気になってしまうのは低速でのレスポンスの弱さ。
ある程度の回転数をキープして走ればキャブ車以上に元気な走りになると思いますが、この低速域でどのくらい粘ってくれるのか、実際に林道で走ってみてのお楽しみです。

こちらは試乗車決定です。 是非一緒に林道へ行って試乗してみてください。
 
     
足つき
下の画像は今回のニューモデル3車種の足つき性についての参考画像です。
実際にバイクに跨った状態で撮影しました。
モデルは某カワサキ専門店の社長さん ^^ 身長は160cmです

 

Ninja250R

指の付け根、土踏まずの前辺りからの部分がしっかりと地面に着いて力が入れれます。

この状態だと跨った状態で前後にバイクを動かすことが可能です。

 

D-TrackerX

両足のつま先が地面に着く感じです。
バイクが軽いのでこの状態でバイクを前後に動かすことも可能。

足つきが心配な人でも何とか安心できる限界でしょうか。

 

KLX250

両足ともつま先が宙に浮く状態。

慣れた人であれば関係無いかも知れませんが、足が着かないと心配な初心者ではちょっとキツイでしょうか。